YOSANO OPEN TEXTILE PROJECT

兵庫・西脇×播州織

兵庫・西脇×播州織 Vol.2

4月に再訪した西脇市。二回目というだけで風景や看板に愛着がわき、車内は盛り上がる。がんど屋根の並ぶ町を走りまわって、播州織を生み出す人達に会いに行く。

整経現場に潜入!加美サイジング株式会社

ビームツービーム、イッセイサイジング、ワーパー、チーズ、途切れなく出てくる専門用語。整経、糊付け、畔取り、次々と現れる巨大な機械。息つく暇なく、大量の情報が目から耳から入ってきた「加美サイジング株式会社」。設計通りの布を織るために、最適な方法を組合せて整経を行う、播州織を支える工場だ。前回のレポートで登場した大城戸織布さんから「丁寧な仕事をするところ」と紹介してもらった。もとは地域の共同組合だったが、3年前に2年かけて会社へと移行。

現場を案内してくれたのは代表取締役社長の橋本憲人さん。組合時代は工場長兼営業で、産元商社の取引開拓に力を注いだ。毎日挨拶に行って、直接出会って、人と人のつながりを繋いで築いた現在の基盤。現在は一斉サイジング2台、ビーツーサイジング1台の合計3台が播州織の元を作り出している。播州織の生産量は減少傾向にあるが「仕事がなくなることはないけどね」と橋本さん。その言葉を裏打ちするように、スイス製の畔取り機も導入して、さらに生産体制を強化している。

何千本という糸が空間を走る一斉サイジングは目が離せず、担当はトイレも昼休みも交代制だ。畦取作業も同じく、常に目を光らせて品質を管理している。糊付けの良し悪しで機織りの稼働率が変わるため、求められる品質は厳しい。そして、製品の仕上がり時には糊は洗い落とされてしまう。工程と工程の間にあってスポットライトを浴びることはない。

それでも最高の仕事をする。

播州織の陰の立役者、ここにあり。

“ tamaki niime ”の光あふれるラボへ

ブランド「 tamaki niime 」。玉木新雌(たまきにいめ)さんが三十代で西脇に移住し、播州織の新解釈を目指して取り組む。色とりどりの作品が並ぶショップは都市部からのお客さんで賑わい、ガラス越しに見えるラボではスタッフが今まさに作品を生み出している。ウェブサイト等で見る、色とりどりのショールがはためく光景はここでは日常の風景。染め、織り、洗い、乾燥まで全てラボ内でスタッフが手作業で行っている。

お客さんが作品を手に取る表情からは、「ここから生まれたものなんだ」という、産地のものづくりを直接目にした満足感や高揚感が伝わってくる。熱量の高さではスタッフも引けをとらない。新雌さんのストイックさや姿勢に惹かれ集まった仲間たち。様々な役割を固定せず、流動的に動ける人じゃないと務まらないという。見れば、先ほどまで糸を染めていたスタッフがラボ見学の案内をしている。みんなの感性やアイデアも取り入れて作ってみようという体制で、スタッフの発案した色や織りもどんどん取り入れる。tamaki niimeの柔らかなショールには、光あふれるラボに満ちたスタッフの笑顔が織り込まれていた。

 

西脇に広がるもうひとつの街 “東播染工株式会社”

西脇のなかにもう一つの小さな町がある、そんな印象を抱いた「東播染工株式会社」。一貫生産を実現する設備は、ここは中国かベトナムの工場かと見間違うほどの規模で、すっかり圧倒されてしまった。見学は足早に歩いて回っても1時間。何千というカラーサンプルが整然と並ぶ試験室。最大14本のビームを一度に染める巨大な釜、それがいくつも設置された染色棟。複雑なものが織れるレピア織機と、高速のエアージェット織機を合わせて95台がうなりを上げる機場。丹後では手作業で行われる経糸の綜絖、筬通しも全て機械化されている。様々な加工を経てシワ取り、たたみ、梱包、出荷準備まで行う建物はとにかく広大で、「映画のロケに使いたいと言われる」というのにも納得。

もとは染色専門の工場から始まり、10年前にアメリカブランドの日本進出にあわせ、「染め」「サイジング」「製織」「加工」部門を設立し、国内トップクラスの技術と生産体制を築いてきた。しかし、近年そのブランド自体が生産を止めてしまい、それまでの大規模受注ベースから多品種小ロットにも対応する新体制へとシフト。

そして2016年から企画室「テキスタイルラボ」が立ち上がり、自社の強みを生かした生地デザインと提案を始める。そこで活躍しているのは二人の女性、小野圭耶さんと川村香芳理さん。小野さんは地元西脇市出身で、他の産元からの転職組。川村さんは「研修生」と呼ばれる西脇市が助成する移住者の一人で、これまで首都圏や海外で服飾デザインをしてきた経歴をもつ。

私自身も海外でのインターンや現代美術のスタジオで働いてきた経験があり、彼女が地方の産地を選んだ理由がとてもよく分かる。世界に発信するものづくりの現場、そこで自分のアイデアや感性を活かせること。都市では圧倒的な量の情報と人と時間の速度にかき消されてしまう自分が、ここでは個人として認められること。日々の生活と人生とものづくりが、一体となって進んで行く実感が得られるのだ。

 

テキスタイルラボは、もう2ラック分のオリジナル生地を作り上げている。この1年は従来の生地や設備を研究し、自社のポテンシャルを探ってきた。そこから見えてきたのは、これまで設備や技術に頼って「設備屋」になっていたということ。「液体アンモニア加工」というここでしか出来ない技術もあって地元商社からの注文も多く、それを強みに展示会では機械や設備の紹介も行ってきた。しかし機械を動かすのは「人」。現場と対話し新たな目線で発信していこうと再認識した。そして今春、はじめてテキスタイルラボとして開発した素材を出展し大きな手応えを掴んだ。「ここには伸びしろとやりがいしかない」と力強く語る二人が、最高峰の技術をもった現場と組んで、無限の可能性を引き出していく。

西脇編Vol.2。

取材を終えてから機屋交流会を開いてもらった。製品や織機は違えど機屋同士。意気投合しての会話に、将来の後継者を弟子入りさせる約束も。私は機屋女子で盛り上がり、いつか彼女と組んで布を織りたいという新しいプロジェクトも生まれた。来るたびに、また来たいと思う出会いがあった西脇

 

取材中よく耳にしたのが、メンテナンスや機料品は丹後の業者に頼むことが多いこと。西脇で「京都」というと「丹後」を意味するくらいの繋がりがあったのだ。ちなみに、与謝野で「京都」と言うときは「市内」を指す。西脇編Vol.2の次はそんな「丹後」を「ひらく」レポートをお送りします!お楽しみに!

仕事百科辞典「加美サイジング株式会社」

tamaki niime

東播染工株式会社

つづる織-もうひとつの産地ルポ

ここに書ききれなかったたくさんの情報や、笑い、そして機屋の思いを、もうひとつの産地ルポ「つづる織」にて配信しています!「ひらく織」とあわせて、ぜひご一読ください。

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